鬼とは、なんなのか
桃太郎は犬たちと鬼の住む島に行った。
あれが鬼というものなのか。
本当に鬼なのだろうか。
しかしここまで来たら覚悟を決めなければ。
斬らなければ。
そうしてしばらく
ただひたすらに鬼を斬った。
最初は鬼を斬る度に心を痛めていた桃太郎も
今では何も感じない。
むしろ気分は高揚している。
我は正義である。
桃太郎はひたすら斬り続けた。
途中、帰りたがる犬たちも斬った。
そしてついに鬼は全て退治された。
しかし、桃太郎の心にはたしかに鬼が宿った。
我が心に賛同するものを寄せ集め、
我が心のおもむくままに生きた。
幾ばくかの時が流れると、
桃太郎の前に青年がやってきた。犬などを連れて。